2015入試-数学
3月15日
前期試験の合格発表も終了、私立医学部の補欠合格の連絡や早稲田・慶應の補欠合格の連絡待ちの諸君、後期受験の手応えを反芻して心の中で期待を感じる生徒と覚悟を決める生徒など、いつもの年のような喜怒哀楽があちこちで見られます。
今年の数学の問題については、特に上位校で「脱ゆとり世代」を意識した出題が目立ち、例年以上に点数を取りづらい、すなわち数学の出来不出来は、合否を決める上であまり関係のない大学が目立ったように思います。
また、ごく一部の大学を除いて理科のうちの1科目が例年に比べて明らかに易化することで、英語の出来が最終的な合否を決めた大学が多かったように思います。最大公約数的な見方なので、個々の大学や学部学科の入試の傾向で考えると異なる場合もあることはご容赦ください。
ただ、問題の構成の仕方で、できる問題とできない問題とに分かれてしまうと、例えば250点満点での勝負が半分の125点満点の勝負になってしまいます。これでは差がぎゅっと圧縮されてしまいます。毎年この傾向が強いのが一橋大学で、爆発力のある生徒は別にして数学ではそれほど点数の差が開かず、他の科目によって合否が決まる傾向が強いようです。今年も第3問は時間内には無理であり、第2問もそれほど得点は望めない。第4問はベクトルの最大最小は幾何的に答えを予想できるということがわかっていれば (1) は正解できるのだが。確実に点数につなげられるのは、第1問と第5問の (1) であろう。(2) は誘導的な見方ができればできる。
私の関係した生徒は数学の得点予想 「3問弱A>B>C>D 1問弱」に対して、合格はC , D の二人だった。一番できたA君は世界史が致命的にできなかったことと、英語が1問難しかったことでクリアできなかったものと判断している。
一方、やはり数学が得点しづらいレベルであった横市医では、ダントツで数学力があり満点近い得点を挙げたが、英語と理科はそこそこのP君と、数学は駄目だが英語と理科に強いQさんは、二人とも横市の医学部に合格した。これは例年並みに半分付近に得点が集中する中で、爆発力があれば数学が武器になるがそうでなければ数学の得点はあまり合否に関係ないということなのでしょう。
せっかくの長い期間の努力が、このような問題の構成によって合否が左右されることには不満の残りますが、それが受験と割り切るよりほかに仕様がありません。
蛇足になるのかもしれませんが、問題の難易は別にして今年の慶應医の第4問は慶應には珍しい「数学の本質に関わる」出題だったと思います。ここでも、理科の易しさから例年通り「英語決まり」でした。
東大文系の問題でまずできて欲しいのは、第3問の2円の半径 r1とr2 に関する2変数の最大最小問題です。ところがこの問題は、理系のような予選決勝問題ではなく、一橋のような r1とr2 の関係式が簡単に求まり、1変数の最大最小問題になります。昨年度の理系のような変域をまとめる難しさもないことから、私はこれなできて欲しいと思う問題でした。知り合いの受験生曰く、第2問をやりましたとのことです。