志賀先生との思い出 竹内端三著「積分方程式論」
数学セミナー5月号を読んだ方だったのでしょうか。千葉県の73歳の I さんから、竹内先生が寄稿文の中で触れた志賀先生の「○○への30講」シリーズの思い出を切々と語られたメールが届きました。竹内先生が具体的に上げられた「位相/複素数、ルベーグ積分、固有値問題」の30講にも共感されておられました。ご自身でも次のようにお話しされております。私は志賀先生の「〇〇30講」の大ファンです.おそらく全ての講義を読んでいると思います.学生時代には微分幾何学関連(現代数学への招待―多様体とは何か―)の本も読みました.私,理系(物理)とは言え数学は門外でして,理解力の貧弱さの故,多くの科目で腑に落ちないことばかりでしたが,この30講で救われたことが多々あります.中でも「ルベーグ積分30講」と「固有値問題30講」には顕著なものがあります.
その固有値問題30講には,第15講の閑談(Tea time)に,次のようなことが書かれていました:
「古いが竹内端三の著書に積分方程式論がある.これはすでに古典であろうが,すぐれた解説書と思われるので,現代的な言葉づかいに直してもう一度世に出されても良いのではないかと思う.」
既に遠く昔に読み,完全に忘却していましたが,あるきっかけで3年前にこれを再読し,2022年10月に某出版社から「現代語訳 積分方程式論」として自費出版しました.そして志賀先生のもとに,拙訳「積分方程式論」をお送りしたいと考えましたが,住所(知る術がなく)などの関係から果たせませんでした.残念です.
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