「探求」という科目
新学習指導要領の目玉である「アクティブラーニング」という学習方法と「探求」という学習テーマがあります。これについて、触れてみます。
最近、いくつかの進学校(開成・麻布・女子学院・京都堀川…)でのこれらに関した学習指導の紹介記事がネットニュースなどに載せられています。
多くは長期休業中の課題研究で個人・グループでテーマを決め、それについて探求した結果を論文の形で報告・発表してディスカッションをするという流れです。これ自体は、よくある自由研究課題という形の延長上にあるものですが、単なる調べ学習ではない点がポイントになります。すなわち、「知的好奇心」の喚起という狙いの他に自分が今学んでいることが具体的どのように使われているか、さらに論理の積み重ねによる思考の筋道を学ぶという学習内容の具体的な理解という視点があることが特徴です。
しかし、このような学習を実現するためには、テーマの決定から仮説に基づく問題の解析と客観的な分析をする時間的な余裕が必要です。そのため、日常的な授業での取り扱いでは表面的な「ディベート技術の練習」で終わってしまいます。その点進学校での扱いとその後のまとめの仕方は、この点を押さえたものだと思います。 「集中講義」の中での取り扱いや「長期休暇の課題研究」などを通して実現することが何よりと思います。
過去の文部科学行政の中で、「日常の授業の中での実現」、「教育機器や設備の活用による実現」、「一斉型の授業展開による実現」という観点が強すぎた結果、失敗を繰り替えしてきた長い歴史があります。そろそろこの呪縛から離れた形での学習方法の展開があってもよいように思えます。すなわち、数学・国語・英語に対する学習方法と社会・理科・情報・芸術などの学習方法とを区別をした2本立て3本立ての複線型学習展開を実現する時期に来ているように思うのですが如何でしょう。
[追伸] 今はやりの「探求」課題の先駆けとして、私が平成16年度冬期課題(中等2年)、平成17年度夏期課題(中等3年)として中等教育学校の生徒全員に提示した冊子があります。前者はデカルトとエウクレイデスについての調べ学習と彼らが何をしようとし私たちがそれをどう使っているかから座標幾何学による図形の性質(幾何)とのつながりを考える冊子です。後者は、パスカルとフェルマーに関する調べ学習と二人が確率論に果たした業績と有名問題の演習など文系的な探求にも耐えられる冊子です。
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