早稲田商⇔慶應医類題物語
最近、医学部受験生の指導で2016慶應大学医学部の問題演習をする機会がありました。
第1問小問集合の(3)の問題を見てびっくり仰天、どこかで見たことがある問題だぞと思って、記憶をたどると2008早稲田大学商学部の第1問小問集合の(3)でした。こんな問題でした。
[2008早稲田商]
「xを実数とする。関数 f(x)=k=1~100Σ|kx-1|を最小にするxの値を求めよ。」
f(x)=|x-1|+|2x-1|+… …+|100x-1|より、kx-1=0 ⇔ x=1/k (k=1 , 2 , … , 100)
∴ 1/i+1<x<1/i のとき ix-1<0 , (i+1)x-1>0 から f(x)=k=1~i -Σ(kx-1)+k=i+1~100 Σ(kx-1) がわかる。
x≥1 のとき、x≤1/100 のときとあわせて考えると、最小値を与えるxはx=1/71と分かる。
[2016慶應医]
与えられたn個の実数x1<x2<…<xnに対して、関数f(x)=i=1~n Σ|x-xi|を考える。
(1) f(x)はxの連続関数であり、各々の開区間(xi-1 , xi) (i=1 , 2 , … , n+1) において、微分可能である。
ただし、x0=-∞ , xn+1=∞ とおく。区間(xi-1 , xi)においてf(x)を微分するときf´(x)を求めよ。
⇒ 微分するためには絶対値を外さなければいけないから、xi-1<x<xi ⇔ x-xi-1>0 , x-xi<0 で絶対値を外せば計算できる。
(2) ある実験において計測をn回繰り返し行って、データ x1<x2<…<xn を得た。これらの中央値を mとするとき、関数f(x)はx=mにおいて最小値を取ること示しなさい。
⇒ 中央値より、nが偶数の場合と奇数の場合に分けて考えればよい。
如何でしょうか。早稲田の問題のシンプルさの中の品の良さがわかっていただけるでしょうか。
この味は外注では出ない味ですね。この辺を味わっていただければ取り上げた甲斐があります。