志賀先生の見ていたものー2

志賀先生の見ていたものー2

 

ある日あるときの志賀先生の一言から その2
[数学における概念のもつ意味]

 

平成14年3月25日頃、志賀先生と私は教科書「中高一貫数学コース」と問題集「中高一貫数学コースを楽しむ」を使った授業の進め方や教科書・問題集の使い方などを協議するため3泊4日の日程で熱海後楽園ホテルで勉強会をもちました。宿泊したホテルには東京から毎晩岩波書店の短答編集長もお見えになり、私に作成に至った経緯や解答・解説をつけなかった理由、まだ未完成の3年生以降の教科書問題集のまとめ方をレクチャーしてくれました。その上で教科書と問題集の関係についての志賀先生の狙いもしっかりと説明を受けたのです。夕食時に私が何気なく志賀先生に問いかけた「先生はなぜ東京工業大学を早期退職されたのですか」に対してmしばらく考えていた先生の答えが「無限がわからなくなったからなんです」でした。この段階では志賀先生が何を言っているのかわからずあれこれ考えるだけでしたが、1ヶ月、2ヶ月、……、1年、2年っ……たち、本当に追7,8年前になってこういうことかもしれないという一つの結論に達しました。ただその時にはすでに、その1でのべた「概念」の話が中心になっていて確かめる言葉も応える言葉も確定的なことにはなりませんでした。しかし、志賀先生が書いてきた書物を改めて目を通すと、カント―ルに対する問題意識と遡及、突然のバナッハ・タルスキ―のパラドックスにつながるポーランド学派に関する興味の向け方・そして本当に最近友人からの要請で病床にある東北大修士を終了された方が40年前に作成したバナッハ・タルスキ―のパラドックスの訳書の内容について、志賀先生と・砂田先生におしかりを受けそれが一生の杭になっているという話から、志賀先生がなくなる1週間前に私が長女の方にお願いして、志賀先生の枕元に彼が訳した「多様体の解析学」の本を置かせていただきました。
私もコロナ禍の前から、5年計画になるかもしれないがカント―ルからバナッハ・タルスキ―までをつなげて「無限」とは何か、志賀浩二先生が見ていたものに一歩でも近づかれば、そしてそれを高校生でも読める知的好奇心を喚起するような書物としてまとめられればと考え、友人の助けを得てまとめています。
このコーナーはそれに対する皆さんの意見や考え、アドバイスをいただくところとして設置したものです。できれば、私の意を汲んでご協力いただければ幸いです。

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