東京工業大学問題分析

東京工業大学問題分析

2015年03月16日(月)5:06 PM

180分  5題    300点
東工大の数学入試問題は、2012年標準、2013年難、2014年易、2015年難という周期性のある出題の難易変化です。(難易は2012年を除き河合塾評価)
新しいシステムで2012年の入試を迎えるにあたって、2011年5月学習院大学で行われた日数教主催の大学入試分析会の場で、東工大の先生が「数学ができる生徒を入れたいということが東工大の入試の総意である」ということを話されました。その際に、過去の難問的な問題ではなく標準的な問題を出題してきちんと数学の得点の差で合否を決めていきたいともいわれました。私などはその言葉に深く同意して、「さすが東工大」と意を強くしました。2012年入試はその片鱗を垣間見せられた問題構成でした。それから3年たって行われたのが今年度入試です。
 第5問の問題は、今年のセンター試験数学ⅡB (全国平均点39.9点) が数学的に「良問」だったのと同様、数学的には嬉しくなるような問題でした。受験生曰く、(1)、(2)は数学Aの教科書119ページに記述されているものと同じそうです。そして、これを見抜けなかったことをとても後悔していました。しかし、東大の過去問「加法定理の証明」などでも明らかのように、こういう問題こそ受験生が苦手にする問題でしょう。得点できるのは昔の東工大が求めていたセンスの良い生徒や考える習慣をきちんと持っている生徒だけのように思えます。私などはそのような作題の能力もないのですが、出題される先生方の中には郷愁を感じておられる方もいるように思えます。また、別の意味で第1問と第3問の「誘導なし」という数学本来の姿の作題で押し切っていることは、私はそうですねと同意できますが、受験生にとっては難しく得点が伸びなかった原因の一つと思われます。過去の東大理系の問題でも確率漸化式では「誘導の有無」により、得点率が大きく変動しています。第1問は、単なる憶測で導き出される答えでないので、やりなれていないと難しいと思います。ただし、(2)を前提にすると(3)は容易に答えられます。第3問は(1)は何とかなりますが、それ以降はきついという受験生の声でした。
生意気な言い方になりますが、今年の東工大の問題は全体的に良問でした。ただ、そのために得点が伸びず第2問、第4問という2問勝負になったようです。その上、第2問は東工大としては珍しい「ベクトル分野」の出題だったので、この分野を手抜きしていた人にとっては、取りやすかったかどうかはわかりません。ただ、普通に考えると一番得点率が高い問題だと思えます。第4問は速度ベクトルの問題ですが、手抜きをしなければやれる問題でしょう。
私の教え子で4類に合格した生徒は0完です。数学的なセンスを持った生徒ですが、問題を変にいじくる癖があり、自分で難しくして解いてしまったようです。ただ、論理的な記述力はありますので、記述点を相当もらえたことと全体的に思ったより得点が伸びなかったことが合格の決め手になったのかと考えています。
昔に比べ、英語の易化と化学のセンターレベル以下 (受験生の言葉です) の出題が目立ちました。今年の合格者はどのようにして選びだされたのでしょうか。物理勝負でしょうか。言葉が過ぎたらお許しください。
「標準問題の中にも東工大でなければ出題できないような作題のアイデアが隠れていると思います」。そういう作題を切に望んでいます。その上で来年度はただの易化でなく、この点に配慮した上で今年よりやや易しい問題になることを願っています。

(適塾横浜)



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